炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
凍ってしまった花冠
セレモニー会場は青々とした緑の芝生が広がる、美しい噴水庭園だった。
雪と氷の庭しか知らないグレシャー帝国皇子のリアムは、初めて見る噴水に興味津々だった。もっと近づいて見ようとしてふと立ち止まる。
自分の背よりも高く打ち上げる噴水のそばには誰よりも豪華な衣装を着た、ただならぬオーラを放つ者がいたからだ。
フルラ国の王と、皇后だ。そして傍らにいるのがクレアの母、大魔女エリア・ガーネット女公爵だと、オリバーはリアムに耳打ちした。
「……なんでここまで歓迎されているの?」
笑みを貼り付けているオリバーの横顔に聞いた。
「リアムが尊い存在だからだよ。手厚い待遇をするのはあたりまえ。胸を張っていなさい」
オリバーの言葉を聞いたリアムは緊張しはじめた。歓迎されればされるほど、自分が失礼な対応をすれば、父であるルイス国王の顔と、グレシャー帝国に泥を塗る。
――僕のせいで、また、戦争になるかもしれない。
さっきのあいさつのような失敗はできないと、ごくりと生唾を飲みこんだ。
「へ、陛下には、拝謁させていただき、誠に光栄に存じます……」
先にあいさつしたオリバーをまねしてリアムはフルラ国の王にあいさつをした。
王は「自国で、学び多きときを過ごされますように」とにこやかに言った。
会話を交わし、何とか無事にあいさつできた。緊張したまま案内された席に座る。
青空の下、さっそく式典が始まった。音楽と踊りの余興は楽しかったが、そのあとは列席している大勢の貴族からの祝辞だ。最初こそ気を張っていたが、一人一人の話は長く、永遠に続くように思えた。
難しい小話に飽きたリアムの集中は続かず、噴水が気になってそっちばかりを見た。
噴水の前にはテーブルが設置されていた。その上には大きな花束とかわいらしい花で作られた花冠があった。
極寒のグレシャー帝国に咲く花は種類が少なく小ぶりだ。色とりどりのきれいな花束は最後にもらえるのだろうかと考えていると、強い風が吹き、花束がテーブルからこぼれ落ちた。花冠も風に吹き飛ばされ、噴水の中へ入っていくのが見えた。
雪と氷の庭しか知らないグレシャー帝国皇子のリアムは、初めて見る噴水に興味津々だった。もっと近づいて見ようとしてふと立ち止まる。
自分の背よりも高く打ち上げる噴水のそばには誰よりも豪華な衣装を着た、ただならぬオーラを放つ者がいたからだ。
フルラ国の王と、皇后だ。そして傍らにいるのがクレアの母、大魔女エリア・ガーネット女公爵だと、オリバーはリアムに耳打ちした。
「……なんでここまで歓迎されているの?」
笑みを貼り付けているオリバーの横顔に聞いた。
「リアムが尊い存在だからだよ。手厚い待遇をするのはあたりまえ。胸を張っていなさい」
オリバーの言葉を聞いたリアムは緊張しはじめた。歓迎されればされるほど、自分が失礼な対応をすれば、父であるルイス国王の顔と、グレシャー帝国に泥を塗る。
――僕のせいで、また、戦争になるかもしれない。
さっきのあいさつのような失敗はできないと、ごくりと生唾を飲みこんだ。
「へ、陛下には、拝謁させていただき、誠に光栄に存じます……」
先にあいさつしたオリバーをまねしてリアムはフルラ国の王にあいさつをした。
王は「自国で、学び多きときを過ごされますように」とにこやかに言った。
会話を交わし、何とか無事にあいさつできた。緊張したまま案内された席に座る。
青空の下、さっそく式典が始まった。音楽と踊りの余興は楽しかったが、そのあとは列席している大勢の貴族からの祝辞だ。最初こそ気を張っていたが、一人一人の話は長く、永遠に続くように思えた。
難しい小話に飽きたリアムの集中は続かず、噴水が気になってそっちばかりを見た。
噴水の前にはテーブルが設置されていた。その上には大きな花束とかわいらしい花で作られた花冠があった。
極寒のグレシャー帝国に咲く花は種類が少なく小ぶりだ。色とりどりのきれいな花束は最後にもらえるのだろうかと考えていると、強い風が吹き、花束がテーブルからこぼれ落ちた。花冠も風に吹き飛ばされ、噴水の中へ入っていくのが見えた。