炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
「えっと……、陛下。私、外套はもう……炎の鳥もいるので平気です」
「それでも着て。そんな薄着では炎の鳥がいても風邪をひく」
ミーシャは苦笑いをすると、白い外套の上に、黒の外套《クローク》を羽織った。
隣に立つジーンが「いや、重そうでかわいそうっす」と呟いたので、彼の足をぎゅっと踏みにじむ。
「早朝に起きるのが日課なんだ。きみは寝てていい。という意味だ」
彼女はゆっくりと頬をゆるめた。
「わかりました。次からは寝るようにします」
「戻ろう」
「陛下、待ってください。……流氷の結界を、近くで見せて欲しいです」
「氷の泉を?」
ミーシャは真剣な顔でこくりと頷いた。リアムはジーンに視線を向ける。
「はいはい。お邪魔虫は退散しますよ。ミーシャさま。どうかごゆるりと」
ジーンは胸に手を当て臣下の礼をすると、足早に去って行った。二人だけになってからリアムは口を開いた。
「俺はきみを信用している。だが、残念だがそうは思っていない者もいる。一緒にいるときはかまわないが、一人では結界に近づかないように」
「……承知しました。以後、近づかないように気をつけます」
ほとんど魔力がないミーシャには結界に細工などできないが、事情を知らない者には不安を抱かせる。できれば誰にも、誤解や怖い思いをさせたくない。
「こっちだ。案内する」
リアムはミーシャの背に手を当て、歩くように促した。
「それでも着て。そんな薄着では炎の鳥がいても風邪をひく」
ミーシャは苦笑いをすると、白い外套の上に、黒の外套《クローク》を羽織った。
隣に立つジーンが「いや、重そうでかわいそうっす」と呟いたので、彼の足をぎゅっと踏みにじむ。
「早朝に起きるのが日課なんだ。きみは寝てていい。という意味だ」
彼女はゆっくりと頬をゆるめた。
「わかりました。次からは寝るようにします」
「戻ろう」
「陛下、待ってください。……流氷の結界を、近くで見せて欲しいです」
「氷の泉を?」
ミーシャは真剣な顔でこくりと頷いた。リアムはジーンに視線を向ける。
「はいはい。お邪魔虫は退散しますよ。ミーシャさま。どうかごゆるりと」
ジーンは胸に手を当て臣下の礼をすると、足早に去って行った。二人だけになってからリアムは口を開いた。
「俺はきみを信用している。だが、残念だがそうは思っていない者もいる。一緒にいるときはかまわないが、一人では結界に近づかないように」
「……承知しました。以後、近づかないように気をつけます」
ほとんど魔力がないミーシャには結界に細工などできないが、事情を知らない者には不安を抱かせる。できれば誰にも、誤解や怖い思いをさせたくない。
「こっちだ。案内する」
リアムはミーシャの背に手を当て、歩くように促した。