直月くんは、キケンな恋に沼りたい
ふぅ~。
これでいつも通り、自分のペースで見回りができる。
亜里沙がいないだけで、心が休まるなぁ。
……って。
あいつ、男子に駆け寄ってる。
はじけるような笑顔を浮かべて。
楽しそうにツインテを揺らしながら。
誰にでも見せるんだよな、亜里沙って。
人の心の中にスーッと入り込む、キラッキラでまぶしい笑顔をさ。
いきなり沸き上がってきた、ドス黒い感情。
これって嫉妬なんじゃ……
いやいや、亜里沙に恋愛感情なんてないし……
そんなはずないと思いたくて、僕は顔をオーバーに振る。
廊下の掲示物を直すふりをして、僕は亜里沙たちの会話に耳を傾けた。