直月くんは、キケンな恋に沼りたい
「ほら後輩君、遠慮しなくていいんだよ」
「僕一人で、持っていけますから」
「危ないよ。本をタワーみたいに積みあげて、前が見にくくなってるでしょ?」
「何とか……見えるし……」
「図書室は下の階だし。足元見えないと、階段を転げ落ちるよ。持ってる本、半分私に貸して」
「でも……」
「ちょうど私ね、図書室に行くつもりだったんだ。新作の本かりたくて。本のタイトルは……えっと……覚えてないから、そこはスルーしてね」
「……先輩に……持たせたくありません」
「なんで?」
「だって僕……男だし……」
「男とか女とか、関係ある?」
「男のくせに女子に本を持たせてるって……みんなから思われたくない……」
「あぁ~、男のプライドって奴か」
「だから放っておいてください」
「じゃあ、こうしよっか。その本、全部私が持つね。貸して」
「ちょ…ちょっと、勝手に奪わないでくださいよ。返してください!」