直月くんは、キケンな恋に沼りたい


怒鳴るつもりなんてなかった。

涙でぐちょぐちょな醜い姿なんて、直月には一生見せたくなかった。

直月の前では、ずっと笑顔でいたかったんだよ。



顔、あげたくない。

涙、止まらない。

直月の前から、今すぐ消えたい。




「病院でフードをかぶっていた子って……ありさ……だったのか?」



直月は焦った声で、疑問符を漏らしていたけれど


「……っ、先生に伝えといて……」


嗚咽をこぼしながら、靴に履きかえた私は


「美容院にっ…行ってっ…くるから……学校、、、休みますって……」


涙を飛ばしながら、走って高校から逃げ出した。





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