【BL】SAY YOU LOVE ME
喉が
悪くて、
飲めない―――――
外でつけていた大きなマスクをぼんやり思い出した。
確かに涼さんの声はかすれていて、
風邪だと言っていたけど……
それは嘘?
「喉の調子が悪い、んですか………」
知らず、外見は何の異常も分からないその喉を凝視してしまう。
涼さんが隠すように喉を触った。
一時的なものじゃないんだ…
直らない……
だから―――
「もう――歌えないほど、
喉が悪いってことなんですか!」
そんなことって―――!
誰にぶつけられる訳もない怒りがこみ上げた。
一瞬にしてこれまで見てきた様々なライブ映像が脳裏に浮かぶ。
涼さんは本当に嬉しそうに、全身から喜びを発散させるように、
叫ぶように、歌うのだ。
よりによって、
ヴォーカリストから声を奪うなんて…
それもこの、日本のミュージックシーンを代表するバンドのヴォーカルから…!
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