【BL】SAY YOU LOVE ME


メンバーはみな一様に表情を固くしたままテーブルに座った。
最後に事務所の人であろう初老の男性が座る。



全員が伏せていたネームプレートを立てると
その男性のプレートには
代表取締役 桜田逸樹
と書かれていた。


また僕の位置からはサイドステージに立つ遠山さんの姿も見えた。



メンバーがずらりと揃ったステージは目の前だ。
その壮観な図には不謹慎にも興奮してしまう。
それも不思議なことに、唯一直に会った筈の涼さんが、一番のその理由なのだった。



Kouがマイクスタンドを調整し口を開く。




「えー……
この度は年末のお忙しい中ありがとうございます
では早速ですが、我々“ONE”の今後の活動方針につきまして、ヴォーカルのRyoよりお話致します」


コトリとマイクの音が会場に響いた。
涼さんが渡されたマイクを握った。


「本日はありがとうございます」


涼さんが一言声を発した途端、その異変に会場は騒がしくなる。


「お聞き苦しくて申し訳ありません
活動につきまして、ファンの皆様、関係者の皆様にまずお伝え致します。
現在ヴォーカルを勤めております私は、本日を持ちましてバンドのプロデューサーに異動致します。
ヴォーカルには新しい歌い手を迎える予定です」


会場は涼さんが言い終わらないうちに、大きなざわめきに包まれていた。
辺りに無数のフラッシュが光る。


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