【BL】SAY YOU LOVE ME


「それでは質疑応答に入らせて頂きます。
ご質問は挙手の上、事前に通知致しました通り
一社様お一つのみでお願い致します」


すると記者達はピタリと静まり、全員が素早く手を挙げた。



1人の記者にマイクが渡り立ち上がる。
有名なレポーターだ。



「失礼ですがONEはヴォーカルのRyoさんあってのバンドじゃないですか?
何故わざわざ新しいヴォーカルを入れるんです?
逆にファンは嫌がるんじゃないですかねぇ?
人気が落ちても続けたいんですか?」


不躾な物言いに、思わず僕は後ろからそのレポーターを睨んでしまう。



「Ryoの人気は勿論ですが、その彼が今後も我々の楽曲要素でもある中核にいるいるわけですから
音楽性は変わりません。
僕達は違うヴォーカルが歌うことで、人気よりも新しい世界が広がると考えています」


Kouがそれに答えた。
その言葉はいちファンである僕をストンと納得させてくれるものだった。


また矢継ぎ早に挙手が続く。


また有名な女性レポーターだ。



「先程良性のポリープと仰いましたよね?
だったらそんなに結果を急がずに、時間を置いて回復を待てないんですか?
ファンはいくら待ってでもRyoさんの歌が聞きたいと思ってる筈ですよ。
Ryoさんはもう歌わないんですか?」



それは――
それは僕も同じように思った質問だった。



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