【BL】SAY YOU LOVE ME


その質問にもKouが答えようとしたが、その手から涼さんがマイクを奪った。


「もし回復することがあったとしても、
それがいつになるのかは全く分かりません。
それ程重い症状です……
そんな自分の歌声に執着せずに、今はONEの音楽とバンドを大事にしたいんです。
この場所を無くしたくないんです――」



「…………」

涼さん――


僕は今すぐにでも涼さんの側に駆け寄りたい衝動に駆られた。



ONEは僕の目から見ても、本当はあのレポーターが言った通り
涼さんあってのバンドだし絶対のカリスマだ。
リーダーはKouでも実質バンドを引っ張っているのは涼さんだ。
だから
歌えないのにプロデューサーに転身してまでバンドにこだわる理由には
今ひとつ釈然としなかったのだけれど……



ONEはきっと
涼さんにとって
僕のそれが“i”であったように
居るべき帰るべき
大事な場所なんだ。



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