【BL】SAY YOU LOVE ME

｢――で、新曲の前に既存の楽曲から歌い直しをして両A面の企画をたててるワケ。｣



いつものヴォイストレーニング前。

遠山さんに事務所へ呼び出され、Kouさんを交えて話し合いが始まった。



｢それは涼にも話ついてるんだよね？｣


｢ええ勿論。
それでこれがリストアップした曲なんだけど、涼はSAY YOU〜がいいんじゃないかって｣



ふいに２人の会話に涼さんの名前が出るだけで、僕は意味もなくドキドキした。



全く音信不通の涼さんが、今どんな毎日を過ごしているのか少しでも知りたいと思っていたから。



｢ミナトくんはどう思う？｣


Kouさんが僕を見た。


｢ハ、ハイ！
あの…僕、一度だけSAY YOUを涼さんの前で歌ったことがあって…
大好きな曲だし、歌いたいですけど……
ONEの中でも絶対一番人気だから、僕なんかが歌ったらファンのみんながどう思うか考えちゃいます｣


話しながらその湧いてきたイメージに自分で凹んでいると、２人に同時にため息をつかれた。


｢ダァメよ！
ミナトくん、今からそんなんじゃ先が思いやられるじゃない｣


｢まぁ、気持ちは分からんでもないけど……
この際、僕の方が涼よりONEのヴォーカルとして相応しい、くらい思い込んで欲しいよね｣


返って来た言葉はやっぱり厳しい。



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