【BL】SAY YOU LOVE ME


「―は、はい……」


そんなこと、催眠術にかかってたって無理だ。


返事をしながらますます僕は俯いた。


「――で、歌撮りは20日。
スタジオ入りは10時だからメンバーへの連絡は今日中にするわ。
ミナトくんはこれからヴォイトレがぎっちりよ」

そんな僕にお構いなしの遠山さんは、不敵に笑うと広げていたスケジュール帳をしまった。


「はい……」


どんよりと遠山さんの後に続いて立ち上がると、Kouさんが携帯を取り出した。


「ミナトくん、もし何か相談とか悩みがあれば連絡してよ。
遠山さんには言いづらいこともあるだろうし」


あっ、と慌てて僕も携帯を取り出す。

「ありがとうございます
お願いします!」


赤外線をやり取りして、僕の携帯メモリにKouさんの名前が加わった。


「あらKou、涼にイジワルされても知らないわよ」

「いーやアイツはヘタレだけど裏で手は回してるからいんだよ」

ふん、と鼻息を吐き携帯をパチンと閉じるKouさんの

言葉の意味が分かりません……

が増えたメモリの喜びが勝って思わず僕はニコニコしてしまう。



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