【BL】SAY YOU LOVE ME
翌日。
迎えに来た遠山さんの車に乗り込むと、後部座席にCDケースとA4サイズの封筒が置いてあった。
綺麗好きの遠山さんが荷物を置きっぱなしにすることはない。
僕あての荷物だと分かった。
「コレは?」
問いかけると遠山さんはミラー越しに目を合わせた。
「空けてみて。昨日両A面の2曲目の打ち合わせがあったんだけど、涼からそれを渡せれたの」
「涼さんからですか?」
僕は慌てて封筒を開けた。
中から出て来たのは楽譜だ。
それから糊付けされた手紙。
「それね、新曲よ。ずっとホテルに缶詰状態だったけど、いつもより早く出来たみたい。
出来たらやっぱり早く歌入れしたくなったようね」
「え!?じゃあ……もう1曲はこの新曲をレコーディングするってことですか?」
遠山さんが前を向いたまま頷いた。
急いで手紙を開ける。
糊付けしてあるのだから遠山さんは見ていないのだろう。
『ミナトくんへ』
ミントグリーンの紙きれに、大きくて角ばった文字が躍っていた。
『練習頑張ってるみたいだね。
大変だろうけど楽しんでやろう!
見に行けなくてごめん。でも新曲が思ったより早く出来たから許して下さい。
遠山にデモを渡しておきます。
聞いて下さい。楽譜は谷に。
それではレコーディングの日を楽しみにしています』