【BL】SAY YOU LOVE ME
「――フン、音程の高低が多いわりに、一番高い音がラだ。難易度は低いし歌い易いように出来てる。
初心者のミナトくんの為に作ったような曲だな」
谷先生がそう言った。
涼さんが僕の為に?
その言葉にワケもなく心臓が跳ねる。
アーティスト達は自分が作りたい曲や偶然浮かんだ曲を作っているんじゃないだろうか?
先生が言うように意図して作れるものかな?
また膨らみそうになる気持ちを押し込めるために、僕は嬉しい言葉を打ち消した。
今はこの曲とSAYYOU~を完璧に歌えるように練習するしかない。
レコーディングは再来週……
多分その日
涼さんに会える。
「じゃあ声出しから」
ピアノに座った先生に僕は背筋を伸ばした。