【BL】SAY YOU LOVE ME
電話を切るとメールを知らせるアイコンに気づいた。
Kouだった。
『ミナトくんが居なくなった。
遠山さんから連絡行くかもだけど、こっちも探してる。
携帯の電源も切ってる。
戻ってくるかもしれないから、会社と谷のスタジオで待機してる。』
メールを確認すると車を乱暴に発車させた。
まずは……新宿か?
勘も何も望みを感じないが、思い当たる所を当たるしかない。
夜の都心は車が溢れかえっていた。
なかなか進まずイライラが募る。
車を降りた方がいいような気もするが、この時間電車に乗るのは無謀だろう。
サングラスもメガネも持っていなかった。
車窓から背格好の似た姿を追う。
いくら街灯が明るくても、俯くように早足で歩く人の群れからは探しようがなかった。
ハンドルを握る手に汗をかく。
冬にヒーターを入れるのも忘れていた、のに。
初めてミナトくんに会った交差点、
再会したCDショップ、
ミナトくんの因縁の街、
オレが知りうる情報はたったこれだけ。
ミナトくんのことを何も知らないオレ。
どうして居なくなったのか検討もつかない。
取材を受けて、やっぱり無理だと思ったのだろうか?
今日ホテルからまっすぐ帰宅した自分を後悔した。