【BL】SAY YOU LOVE ME
裏道を縫うようにあちこちを迷走し、何も手がかりが掴めないまま時計は9時を過ぎた。
どうする?
焦りを通り越して背中に迫る絶望感を感じた。
この絶望感は明日がレコーディングだとか仕事のスケジュールのことなんかじゃなくて、あの記者会見の日に、ミナトくんを追いかけて手にした筈の安堵感が幻だったんじゃないかと思うような、得体の知れないものだ。
車を止め、コツンと頭をハンドルに置いた。
どうすればいい?
携帯は静かなままだ。
もしミナトくんが戻っていたり、何か動きがあれば連絡があるだろう。
それでも2時間経ったし一度こっちから連絡を取るか?
待機しているKouの顔を思い浮かべた。
アイツ、ミナトくんの携帯の電源が切れてるとか言ってたな…
ってことは番号を知ってるってことだ。
今まで連絡を取り合ってたのか?
オレは缶詰状態だったのに…
道路の向こうからやって来た対向車がライトを光らせて行った。
オレはハッと顔を上げた。
何をこんな時に考えているんだ。
事務所に向かうかマンションに戻るか思案した。
その瞬間。
自分とミナトくんに繋がりがある場所を思い出した。
オレの、マンションだ。