【BL】SAY YOU LOVE ME
無言のままエレベーターに乗せ、部屋に連れてくると玄関に鍵を掛けた。
携帯を操作し、遠山とKouにメールを送信する。
『発見保護。明日スタジオで』
とだけ打ち電源を切った。
余計な邪魔が入るのは嫌だ。
「涼さん……手を、離して下さい」
おずおずとした声が言った。
慌てて離した白い手に、オレの指の後がくっきり残っていた。
かなりの力で握っていたらしい。
「ゴメン!」
オレが悪かったのに、ミナトくんは首を振るとその手を背中に隠した。
「僕の方こそ、きっと今頃遠山さん達凄く怒ってると思います。
それなのにここに来ちゃって、涼さんにも迷惑をかけて…
本当にごめんなさい」
電気をつけるよりも鍵に意識を囚われ、暗く月明かりだけの部屋に涙目のミナトくんが立っている。
オレは魂を抜かれたみたいにその姿を見つめた。
どうしたの?
どうしてここに来たの?
仕事場から逃げてきたのは何で?
聞くべきことは沢山あるのに…
そこにはきっと解決すべき問題があるはずなのに…
何も考えられない。
考えもしないで両手が動いた。
肩の位置にある柔らかい頭を引き寄せた。
そうして力任せに抱きしめた。