【BL】SAY YOU LOVE ME




コーヒーがドリップされてくる音が意外な程にうるさい。


部屋が静まり返っているからだ。


ミナトくんがいる気配もしなかった。


途端に不安になってカウンターから覗くと、そこにちゃんとミナトくんは居た。
ほっと胸を撫で下ろす。



アレは多分……
アレというのは勿論さっきの暴走についてだけれど。

禁断症状というか、会わないでいた期間につのったのだ。
何かが。


そしてキスは所有欲の表れだとしておこう。



そうしよう。




深呼吸してキッチンから出た。


ミナトくんの顔を見ないようにカップをテーブルに置いた。
どこに座ろうか考えて、以前にミナトくんがこの部屋にやって来た時を思い出した。

そうだ確かあの時も距離を計りかねて床に座ったんだ。


彼に喉のことを打ち明けたいと自然に思ったあの時。
それから距離は縮んだ筈なのに、オレはまた床に座った。


転がっているクッションを抱き寄せる。


どう切り出そうか思案した。







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