【BL】SAY YOU LOVE ME
「――あの、荷物どうしたんですか?引越しするんですか?」
先に口を開いたのはミナトくんだった。
「え?」
顔を上げると真っ直ぐこちらを見る目とぶつかった。
何故か不安げで、聞かれた内容に答えようとする思考よりも、その目の意味を考えてしまう。
「あの、ダンボールばかりだから…」
「あ、ああ…」
オレは間抜けな相槌しか打てない。
ヤバイ。
目が
逸らせない…
「涼さん?」
覗き込まれてやっとまばたきした。
「イヤ、今日の朝ホテルから帰って来たから。
持って行ってた荷物だよ!
スタジオ近くで缶詰だったんだ」
早口で言い終わると慌ててカップを手にした。
「あっ涼さん!」
パシっとオレの手ごと、ミナトくんの両手がカップを包んだ。
なっ!?
なんで!?
なにが!?
いきなりの行動に心臓が跳ねた。
「もう熱いのをそのまま飲んでも平気なんですか?」
目の前にミナトくんの顔があった。
金縛りにあったように体が固まっている自分を、心底ダメかもしれない、と思った。