【BL】SAY YOU LOVE ME
オレは狼狽したまま、返事もそこそこにミナトくんの手を振り払うようにコップを引き寄せた。
「も、もう平気だから。ゆっくり飲むし…」
なるべくミナトくんの顔を見ないように答える。
やっぱり目をみてしまうとヤバイ。
「それなら、良かったです…」
明らかに傷ついたような声がした。
そうだCDショップで再会した時もこんなことがあった。
彼のただの厚意を、オレが変に意識し過ぎているから傷つける…。
だったらオレはあの頃からすでに、こんな風にミナトくんのことを…?
テーブルから少しだけ視線を上げると、膝の上できつく握り締めているミナトくんの両手だけが見えた。
そうだオレの気持ちがどうだこうだと悩むより、解決しておかなくてはならないことがある。
そのことでオレを頼って訪ねてきたミナトくんに何をしてるんだ…
コホン、とわざとらしい咳払いをした。
割り切ってミナトくんの顔を見上げる。
「本題に入ろうか?
先に言っておくけど、バンドや事務所のことで何かあるなら遠慮しないで話して欲しい。
もし明日のレコーディングが無理ならオレから連絡するから心配しないで」
そう言った。
そう言ったけど、明日のレコーディングは絶対に行かなくてはならない。
そのつもりで遠山達を牽制したのだから。
ミナトくんは悲しそうに瞼を伏せた。