【BL】SAY YOU LOVE ME
「僕の個人的なことで問題が起きたんです。
事務所に迷惑をかけてしまうかもしれないので、でも遠山さんには相談出来なくて…
1人で混乱して飛び出してしまったんです…
ホントにすみませんでした」
個人的なこと?
オレは眉をひそめた。
ミナトくんの個人的な事情で遠山に話せないことと言えば過去のことだろう。
「――何があったの?
今日は午前中に取材があったハズだよね?」
「その取材で…僕は知らなかったんですけど、音楽雑誌のライターの方々はフリーの方が多いんですね?」
「え?んん~どうだろう?勿論出版社の編集さんや専属の人もいるし、雑誌にもよるかな。
オレらが取り上げられるのは音楽雑誌の中でもバンドの扱いが多い所だから、こっちに精通したフリーのライターに当たることは普通だよ」
意外な話題に糸口が見つからない。
数秒、言いにくそうにミナトくんは口をつぐんだ。
「今日お会いしたライターさんは、遠山さんとも親しいようだったので涼さんもご存知だと思います。
僕は初めてお会いしたんですが、その方は僕のことをよく…知っていると…
その、取材が終わって帰ったと思ったんですが、次の取材の前にトイレに向かう途中呼びとめられて…
そう言われたんです…」
よく
知っている…?
「――え?」
よぎった答えを飲み込めずに聞き返した。
「多分、以前店に来たことがあるんだと思います…
以前僕が居た店に…
でもそれであの人が実際に僕を買ったかは分かりません」