【BL】SAY YOU LOVE ME
ドンッ!
と持ったままだったカップをテーブルに置いた。
はずみでコーヒーがこぼれる。
息が荒くなるのを抑えた。
「誰だ、ソレ?名前聞いたよね」
ミナトくんが怯えたようにオレを見ている。
取り繕う余裕は消え去っていた。
「知っているから何だって?何か要求されたの?」
たたみ掛けるように詰め寄った。
ミナトくんは力なく首を振った。
「具体的には何も…ただ事務所は知ってるの?って。
世間に知れたらタダじゃ済まないよねって…
それだけ言い残して…」
ギリッと自分の歯がたてる音を聞いた。
「名前は!?」
今度はハッキリとミナトくんは肩を震わせた。
「すみません…取り出した名刺を遠山さんが受け取ったので…
僕どうしたらいいか分からなくて…
考えが足りませんでした!前の僕のことを知ってる人は1人や2人じゃない。
こんなに近い所にも居るなんて…
このまま続けたら――」
「関係ない」
青ざめながら話すミナトくんの言葉を遮った。
遮られて口を閉じた代わりに大きな目から涙が落ちた。