【BL】SAY YOU LOVE ME
「ミナトくん…前々からあの話を、遠山や事務所には話さなければならない日が来るとオレは思ってた。
ミナトくんはどう思う?」
感情を押し殺して事務的に言った。
ミナトくんの顔が強張った。
「――僕も、いつまでも隠し通すつもりはありません…
だけど知られたくない気持ちはあります。理解して貰えるとは思えないし…
涼さんみたいな人ばかりじゃありませんから」
声が震えている。
オレは無言で頷いた。
「言いたくないことは分かってるよ。でもミナトくんは被害者だ。それを無視してキミを悪く捉える人間とは一緒に仕事をしてないよ。
もし打ち明ける覚悟があるなら、今がその時だ…
そして皆で今回の件を話し合うことだけが解決方法だと思う」
オレの言葉にミナトくんは迷うように目を閉じた。
これだって所詮は建前なのだ。
あの話を、オレは誰にも知られたくなかったのだから。
こうなる事態を予測はしていても、起きないことを願っていた。
オレにだけ話してくれた秘密を
守りたかった。
それはオレの個人的な感情だから、ビジネスには持ち込めない。
「ゴメンな」
そう謝った。
目を開けたミナトくんが首を振った。
「涼さん、遠山さんを呼んで下さい」
決心したようにハッキリ言った。
ミナトくんが事実を打ち明けた後、バンドが存続するのか
もう分からないような顔だった。