【BL】SAY YOU LOVE ME
涼さんのその態度に遠山さんも怪訝な顔を向けた。
僕の顔色を伺うとソファーに座った。
「出来ればミナトくんから話を聞きたいわ。
気持ちの面で何かあったんでしょう?
レコーディングが怖い?」
隣に座った僕に見合った。
「――そういうことじゃありません。僕の個人的な事情をこれまで遠山さんや事務所にきちんとお話していなかったことで、今日トラブルがあったんです」
「トラブル!?」
「はい。僕が事務所との契約に保証人を涼さんにお願いした時、天涯孤独だからだとお話したと思います」
「そうね、それは戸籍謄本で確認させて貰ったし涼も承諾したことだわ。
もしかして…ウソなの?」
「そうじゃない。最後まで話を聞け」
涼さんが代わりに答えて、遠山さんは口をつぐんだ。
「学生時代は母の知り合いに生活の面倒を見て貰っていたんですが、僕はその人に…虐待を受けていて、高校の卒業と同時に逃げて上京して来ました。
その後もまともな仕事に就けずに…
――その、体を売るような仕事に身を堕としてしまいました…
意味、分かりますか?」
チラリと目を上げると遠山さんは激しくまばたきを繰り返していた。
「――え?ちょっと待って?」
焦った様子で遠山さんは涼さんに助けを求めるように顔を向けた。