【BL】SAY YOU LOVE ME



スタジオではディレクターに話しかけられたミナトくんがはにかむように笑っている。

手をパタパタ振って、それからお辞儀した。
その背中をポンと叩いてディレクターが戻ってきた。



「ホントに珍しいタイプの子ですねミナトくんて。ピュアで反応もカワイイし、なのに歌うと別人みたいで。さすが涼くんが見つけた子って感じですか」



何、とは答えようのないことだった。


オレが見つけたというワケじゃないだろう。

元々ミナトくんが【さすが】と言わしめるだけの子なだけで。
むしろ出会えたのが奇跡的だったのだから。



「だね」

無言のオレの代わりにKouが答えた。




例えようの無いことだと思う。
自分でもどんな気持ち、と飲み込んだわけじゃないままに出来た歌を歌われることも。



ミナトくんを救いたいとか守りたいとか

から


どれ程大事に思うようになったか


言葉には例えられない。




バランスが危ういのは自分だ。





【New Life】の前奏が流れた時点で耳まで赤い体温を感じた。







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