【BL】SAY YOU LOVE ME



僕は敢えて涼しい地下ではなく、地上を歩き出した。



焦げ付きそうにチリチリと痛い日差しを浴びて、まだ自分は太陽の下で生きていけると感じたかったのだ。




出勤時間まで余裕はかなりあるけど、寄り道することなく真っ直ぐに目的地へ急ぐ。



おびただしい人々が行き交う交差点を過ぎ、徐々に人気が無くなっていく通りへ。



人にぶつからないよう歩く時自分の神経が一番疲れることに気づいたのは、北海道から逃げるように上京して来て、最初に新宿を訪れた2年前だった。



圧迫感、閉塞感、焦燥感。
広々とした北海道とは何もかもが違った。




同じだったのは、所詮ここも日本で、腐った人間が存在しているということ――――


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