元皇女なのはヒミツです!
「ただし!」アレクセイさんは人差し指を立てた。「条件がある」
「条件?」
「そう。僕との約束だ。まずはリナが皇女だと絶対に明かしてはならない。トラブルや最悪は新たな戦争の火種になるかもしれないからね」
「もちろんよ!」
「次に……もし奇跡のようなことが起こって君とフレデリック王太子が出会うことになっても、最初から最後まで平民のリナとして王太子と接すること。決して身分を打ち明けてはならない。絶対にだ」
私はごくりと唾を飲み込んで、ゆっくりと頷いた。
「分かってるわ。約束は必ず守ります」
こうして、私はリーズ王国へ赴くことになったのだった。
こんなことになるなんて、一年前の自分の状況からは考えられなかったので本当に夢みたいだ。
フレデリック様から手紙で教えて貰った王都の人気のお店や観光名所の幽霊が出る古城や小さな湖が点在する広々とした王立公園……行ってみたい場所はたくさんある。それらを考えるだけで胸が踊った。
でも、忘れてはいけない。
私は平民のリナ。
奇跡なんて起こるはずがない。