元皇女なのはヒミツです!
「…………」
私は困り果てて押し黙った。
本音を言うと、物凄く嬉しい。王太子殿下と侯爵令息から認められたということだから、とても光栄なことだ。
それに、フレデリック様と一緒に働きたいし……もっと彼のお側にいたい。
でも……、
「せっかくですが……申し訳ありません……」と、私は深々と頭を垂れた。
生徒会に入ったらきっと書類仕事が待っている。私の筆跡でフレデリック様にエカチェリーナだと気付かれる可能性が高い。
最初から最後まで平民として接すること――これが命の恩人のアレクセイさんとの約束だ。絶対に破ってはいけない。
「気を遣っているのなら、遠慮しないでいいんだよ。その、なんというか……君は令嬢たちから嫌がらせを受けているだろう? 生徒会に入ったら、僕たちもいるからそういうのは減ると思うんだ。考えてくれないかな?」
「いえ……」私は首を横に振った。「違うんです。実は……私は仕事をしていて、今でも学業との両立に手一杯で、とても生徒会に入る余裕なんてないんです。だから……その……すみません」
フレデリック様とオスカー様は驚いた表情をして互いに顔を見合わせて、
「そうか。それは君の事情も気に掛けず、悪かったね。もし気が向いたら生徒会室に遊びに来てくれ」
「はい。誘ってくださってありがとうございました。王太子殿下にそのようなお言葉をいただいたこと、とても光栄に思います」