元皇女なのはヒミツです!

25 家庭教師

「私が貴族のご令嬢の家庭教師を、ですか?」

「そうなんだよ。実は、先方が狩り大会での君の活躍に感動したらしくてね。是非、娘に魔法を教えて欲しいとおっしゃっているんだ」

「あの、平民の私でいいんでしょうか……?」

 にわかに不安の波が押し寄せてきた。狩り大会に来賓されていたということはきっと高位貴族の方だ。そんな家門の令嬢に身分の低い者が教えるなんて、普通ならあり得ない。

「あぁ、それは特に問題はないよ。君に教えて欲しいのは魔法だから身分は関係ない」

「そうですか。ですが……」

 私は躊躇した。貴族の令嬢の家庭教師なんて、きっと定食屋と比べものにならないくらいの収入になるわ。喉から手が出るほどの魅力的な話だ。
 でも、よくよく考えてみると、他に人材は潤沢なはずなのに高位貴族がわざわざ平民に依頼するということは……。
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