元皇女なのはヒミツです!
「ふざけないでっ!!」
公爵令嬢が魔法を放つ。途端にドンという衝撃が走って部屋中の窓ガラスがガラガラと砕け散った。
私は咄嗟に氷の膜を張って、部屋にいる人たちを保護する。目配せをして彼らは部屋の外へと出ていってもらった。
去り際に執事が丁寧に一礼してくれて一安心した。よし、私の非礼はとりあえずは不問のようね。実は言い過ぎたかとちょっと不安だったのよね。下手すれば私がギロチン送りだったわ。
「……まだ魔法は全然のようですね。まるで操作がなっていない」と、私は公爵令嬢を挑発した。
「うるさいっ!」
公爵令嬢が魔法の弾を打つ。
どうやら彼女も光魔法の使い手のようだ。小さな身体で放った渾身の魔法は私の顔の10センチほど横を通り過ぎて壁に当たって砕け散った。
「下手くそ」と、私は口の片端を上げてせせら笑った。
「うるさい! うるさいうるさいうるさいっ!!」
公爵令嬢は泣き叫びながら連続で魔法をぶつけてきた。私はその全てを避けて、最後は氷魔法で弾き返してやった。
「公爵令嬢様、この年でまだ魔法も満足も扱えないなんて、がっかりです。この分だときっと他の学問のほうも遅れているのでしょうね。公爵閣下も嘆き悲しみますよ」
「黙りなさいっ!!」