元皇女なのはヒミツです!
29 二回目の授業
私は特にお咎めもなく、翌週も公爵家を訪うことを許された。
執事の話によると、シェフィールド公爵は前回の私の仕打ちに怒るどころか娘の力を引き出してやる気を起こしてくれたと感謝しているらしい。公爵令嬢は魔法以外の授業も以前より真面目に取り組むようになったようだ。
ただ、さすがに前回のように毎回部屋を壊されたら堪らないので、これからは外で授業を行うようにと仰せ付かったのだった。
庭に向かうと、お人形みたいな可愛らしい公爵令嬢が東屋の下にちょこんと座ってお茶を飲んでいた。
「こんにちは、公爵令嬢様」と、私は一礼する。
「あなた、また来たの? もう来なくていいのに」と、公爵令嬢はつっけんどんに答えた。
「公爵閣下からご許可をいただきましたので。では、本日の授業を始めましょう。今日は座学から――」
そのとき、テーブルの上にあった教科書がボスンと鈍い音を立てて下に落ちた。
「あら、落ちちゃったわ」と、公爵令嬢は素知らぬ顔で言った。
「そうですね」と、私もすました顔で答える。
「…………」
「…………」
しばらく、互いに見つめ合いながら沈黙を貫いた。
執事の話によると、シェフィールド公爵は前回の私の仕打ちに怒るどころか娘の力を引き出してやる気を起こしてくれたと感謝しているらしい。公爵令嬢は魔法以外の授業も以前より真面目に取り組むようになったようだ。
ただ、さすがに前回のように毎回部屋を壊されたら堪らないので、これからは外で授業を行うようにと仰せ付かったのだった。
庭に向かうと、お人形みたいな可愛らしい公爵令嬢が東屋の下にちょこんと座ってお茶を飲んでいた。
「こんにちは、公爵令嬢様」と、私は一礼する。
「あなた、また来たの? もう来なくていいのに」と、公爵令嬢はつっけんどんに答えた。
「公爵閣下からご許可をいただきましたので。では、本日の授業を始めましょう。今日は座学から――」
そのとき、テーブルの上にあった教科書がボスンと鈍い音を立てて下に落ちた。
「あら、落ちちゃったわ」と、公爵令嬢は素知らぬ顔で言った。
「そうですね」と、私もすました顔で答える。
「…………」
「…………」
しばらく、互いに見つめ合いながら沈黙を貫いた。