元皇女なのはヒミツです!
「そ、そうですか……」
冷や汗が止まらなかった。まだ心臓がバクバクしている。さすがに元皇族だとはばれていないわよね……?
「リナは没落貴族なの?」
アメリア様は興味津々に私に尋ねる。純粋な瞳が太陽のように眩しくて正面から見ていられなかった。
「そ、そうですね……。革命で、お家取り潰しに……。で、でも下位貴族なので平民とあまり変わりませんから!」
私は咄嗟に嘘を並べた。
「そうなのね。革命では没落した帝国貴族もいるって聞いたわ。リナも大変だったのね」
「えぇ、まぁ……。アメリア様はお詳しいのですね」
「帝国のことはフレディお兄様からいろいろ聞いているの。お兄様はね、エカチェリーナ様と何年も文通をしていて、お手紙の話をいつもわたしにしてくれていたのよ」と、アメリア様は嬉しそうに言った。
「そうなのですか」と、私は何食わぬ顔で相槌を打つ。
「そうなの! わたし、お兄様からお話を聞いていてエカチェリーナ様のことが大好きになっちゃった! 早くお会いしたいわぁっ!」
「あの……エカチェリーナ、様は……」と、私はおずおずと言った。
公式では私は死亡しているのだ。私たちが会うことは決してない。