元皇女なのはヒミツです!
「えぇええっ!?」と、私は素っ頓狂な声を上げた。
アメリア様は私の反応など意に介さずに一人で盛り上がって話を進める。
「そうだわっ! リナがわたしのお姉さまになってくれたら嬉しいわ! 侯爵令嬢なんかより断然いい!」
「ちょ、ちょっと待ってください! 私は平民ですよ? 絶対に不可能です!」
「でも元貴族なんでしょ? だったらシェフィールド家の養子になったらいいじゃない。そうしたら二人の婚約になんの問題もないわ。それで行きましょう! ねっ、いいでしょう?」
私はアメリア様を……そして自分自身をも落ち着かせるようにコホンと大きく咳払いをして、
「……アメリア様、そんな単純な話ではないのです。国王陛下はなぜ侯爵令嬢を王太子殿下の婚約者候補に推したと思いますか?」
「えっ? 身分が高いからじゃないの? だから――」
「それもありますが、現在リーズ国内ではフォード侯爵家の派閥はとても影響力があります。陛下はそれを見越しての判断かと思われます」
「そうなの?」と、アメリア様は目をぱちくりさせる。