元皇女なのはヒミツです!
「そうです。フローレンス様の後ろ盾は大きい。その規模は王家の求心力にも影響するでしょう。仮に私がシェフィールド家の養子になって王太子殿下と婚約しても、それを上回るメリットがまるでない。もともとのシェフィールド家の影響力になんのプラスにもならないのです。むしろ、王太子と婚約したいがために平民を養子にしたことでマイナスになるかもしれません」
もし私がエカチェリーナだと暴露すればストロガノフ家とその派閥の家門は後ろ盾になってくれるかもしれないけど、皇女のことは絶対に言えない。皇女でない平民の私には利用価値なんて1ミリもない。
「婚約って難しいのね……」
「そうですね。貴族の関係性はややこしいですね」
「わたしもそうやってメリットとかで知らない人と婚約させられるのかな……」
アメリア様はしょんぼりとして呟いた。
「そんな……。きっと公爵閣下はアメリア様の幸せを一番に考えて婚約相手を決めますよ」と、私が答えるとアメリア様はパッと花が咲いたような明るい顔になる。
「そうよね! お父様ならきっとそうだわ! ――ねぇ、リナは貴族の頃は婚約者はいたの? メリットとかでご両親に決められた?」