元皇女なのはヒミツです!
「私は……」
フレデリック様と婚約解消になりました、と言いそうになったが純真な少女の夢を壊したくなかったのでおくびにも出さない。……もしかしたら自分でもまだ認めたくないからなのかもしれないけど。
「私はまだ婚約の話なんて全然出ていませんでした。下位貴族は気楽なものですよ」
私はまたぞろ嘘をついた。
「そうなのね。じゃあ、リナは好きな人と結婚できるのね。いいなぁ~」
「そうかもしれませんね……」と、私は苦笑いする。
お慕いする方とはもう結婚できない。
私はこの先フレデリック様のことを忘れて、他に好きな人ができるのだろうか。
……全く想像がつかないわ。