元皇女なのはヒミツです!
「リナが駄目だったら、やっぱり早くエカチェリーナ様を見つけないといけないわね」
「えぇっ!?」
「だって、そうでしょう? 侯爵令嬢がフレディお兄様の婚約者なんて嫌だもん」
「そうですけど……」
「ねっ、わたしたちもエカチェリーナ様を探しましょうよ! リナも手伝ってくれる?」
「えぇっと……」
私は返答に窮した。真剣な気持ちの彼女を応援したいけど、自身を探す協力だなんて馬鹿げている。
「お兄様は連邦国内を中心に捜索しているみたいだけど、わたしはエカチェリーナ様はリーズにいると思うの」
「ええぇぇえええっ!!」
思わず大音声で叫ぶ。
アメリア様は怪訝な顔をして、
「だって普通は好きな人の側にいたいものじゃない? わたしだったらお父様やお兄様と一緒にいたいわ。だからきっとエカチェリーナ様もフレディお兄様の近くにいらっしゃると思うわ!」
「…………」
じわりと額に冷や汗が浮き上がる。
す、鋭い……。いや、私の思考が幼い子にもなぞられるくらいに単純なのかしら?
いずれにせよ、困った……。
「じゃあ、次のお休みは早速エカチェリーナ様を探しに行きましょう! ねっ?」と、アメリア様は私にぎゅっと抱きついて期待のこもったキラキラした瞳で見上げてきた。
「……わ、分かりました」
私は頷くより他なかった。
あとでセルゲイに相談しよう……。