元皇女なのはヒミツです!

「ここよ! 早く入りましょう!」

 アメリア様が向かった先は、オープンテラスのとってもお洒落なカフェだった。陽の光を取り込むような明るい設計で、黄色を基調にして木材をふんだんに使っている内装に、ところどころ配置されている観葉植物の緑が映えて洗練されてる空間になっていた。

「メイドたちが話していたわ。今、王都で人気のカフェなのよ!」と、アメリア様は得意げに説明してくれた。たしかに若い令嬢たちや恋人同士の客で賑わっていた。

「お父様に予約をしてもらってるの。さ、行くわよ!」

 私とセルゲイはアメリア様にぐいぐいと背中を押されながら席に着く。私たちは顔を見合わせながら苦笑いをした。これは完全に当初の目的を忘れているようね。やっぱりまだ無邪気な子供よね。良かった、良かった。

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