元皇女なのはヒミツです!
「あなたたち、さっきからリナに失礼じゃなくて? 平民平民って、リナはれっきとした元貴――」
「わあぁぁぁっ! アメリア様、ストップ、ストップ!」と、私は慌てて彼女の口を塞ぐ。
「ふぁ、ふぁんでぇっ!?」
「元貴族のことは内緒なんです。面倒なことになりますから」と、私は耳打ちする。もしグレースたちに知られて、これ以上話がややこしいことになったら困る。
「べっ、別にいいじゃない!」
「もし喋ったらリナが困ることになるんだよ。リナが悲しいのはアメリアも嫌だろう? だから黙っていような」と、セルゲイも説得に加わると、アメリア様はコクンと素直に頷いた。よし、こういう時のためのセルゲイよね。令嬢殺しのセルゲイよ。便利なセルゲイだわ。
「はいはい。顔を見たくないのはお互い様。――っていうか、あなたたちは休日まで三人一緒なのね。デートする相手もいないの?」と、私は三人の顔を一人一人じっくり見てから鼻で笑った。嫌味には嫌味で返す、やられっぱなしの平民ではないわ。
グレースたちはみるみる顔を真っ赤にさせて、
「まあぁぁぁっ! なんですってぇっ!」
「なんて嫌な子なのかしら!」
「男を誑かすことしか頭にないのよ!」
面白いくらいに怒り出した。