元皇女なのはヒミツです!
「え、えぇ。まぁ……」と、私は曖昧に返事をした。さすがに王族と公爵令嬢の友人面をするのは気が引ける。
「今日はセルゲイじゃないんだねぇ。リナったらもてるねぇ」と、マーサさんはニヤニヤしながら言った。
「ち、違うから! っていうか、セルゲイともなんでもないし!」
マーサさんはケラケラと笑いながら奥へと去って行く。もうっ、セルゲイだってただの友人だし!
「ストロガノフ公爵令息のことかい?」と、フレデリック様が尋ねた。
「はい。彼は同郷の私を気に掛けてくれて、ここにもよく来てくれるんです」
「そうか。彼は優しいね。従妹も先日彼に遊んでもらったんだよ。あのときは楽しかったね、アミィ?」
「まぁまぁだったわ」と、アメリア様は満更でもない様子で答えた。
アメリア様はアレクサンドル人の公爵令息のことをすっかり気に入ったらしく、また会いたいとせがまれてセルゲイはフレデリック様と一緒に先日シェフィールド公爵邸に遊びに行ったそうだ。案の定そのときに公爵閣下から娘の婿養子に……と言われたらしい。まぁ、身分も学業も顔も申し分のない彼が引く手数多なのは当然よね。彼は卒業後は一体どうするつもりかしら?