元皇女なのはヒミツです!
「せっかくだから今日はリナが作ったらどうだい?」
「えっ? 私がですか!?」
「友達なんだろ? 美味しいご飯を食べさせてやりな!」
私は給仕から始めて、最近は厨房にも立たせてもらうことが増えた。簡単なメニューなら任されるようになったけど、さすがに家に一流の料理人を抱える王太子と公爵令嬢の食事を自分が用意していいのだろうか……。でも、今日はお忍びだからマーサさんに本当のことを言うわけにはいかないし……。
「さっ、お客さんが待ってるよ! 早く取り掛かりな!」
逡巡しているとマーサさんがポンと私の背中を叩いた。
「あたしも手伝うからさ」
「……はいっ!」