元皇女なのはヒミツです!
「リナ嬢、もし不安だったら僕も連名で署名するよ。それに、叔父上は君が平民だとか気にしていないと思うよ。言い方は悪いけど、シェフィールド家はそんな些末なことで貶められるような家門じゃないから」と、フレデリック様は不安げな表情の私を安心させるようにふっと優しく笑ってみせた。
「…………」
彼の笑顔に心が揺らぐ。
「それにアミィがこれまでにたくさんの家庭教師から逃げられているのは周知の事実だから、平民の君が来ても周りも納得するよ。もう平民にしか相手にされないんだな、って」と、フレデリック様は今度は可笑しそうにくつくつと笑った。
「もうつ! お兄様!」と、小さなお姫様は従兄をきっと睨み付ける。
「ははは、ごめんごめん」
「わたしはリナに出会って心を入れ替えたのよ! 今は素敵なレディになったの!」
「そうだったね。偉いね、アミィは」
「バカにしないで!」
二人のやり取りに思わずくすくすと笑ってしまった。
「そうですね、アメリア様はどんどん素敵になっていますからね」
「そうなの! わたしは素晴らしいレディになるの! だから、リナ! お願いっ!!」
アメリア様が小動物のようなうるうるとした丸い瞳で私を見上げる。うっ、そんな可愛らしい目で見られたら……。
「僕からも頼むよ、リナ嬢」と、フレデリック様も頭を下げた。