元皇女なのはヒミツです!


「えぇ……まぁ……か、下位貴族でしたけど……」

 自分でついた嘘が心を抉る。

「革命で没落したと聞いたが……ご家族は?」

「両親と兄がいましたが、今はもう……」

 これは本当だ。

「そうか……。それは辛かったね」

「いいえ、もう大丈夫ですから」

「だが、今の身分だといろいろ大変だろう。現に学園では令嬢たちからの風当たりが強い。もし、家門を証明できるものがあったらリーズ国内の貴族に養子に入ることもできるが、どうだい? よければ僕が推薦するが……」

「いいえ」

 私はまっすぐにフレデリック様を見つめて、

「私は平民として生きていくと決めたのです」

 帝国滅亡と同時にエカチェリーナは死んだ。
 私は平民のリナ。これから、ずっと、最期まで。

「そうか。余計な心配だったね。君の矜持を傷付けたのなら悪かった」と、フレデリック様は肩を竦めた。

「いえ、お気遣い痛み入りますわ。ありがとうございます」


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