元皇女なのはヒミツです!
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「ねぇ、フレディお兄様! さっきのリナ、貴族の令嬢っぽかったわね! とってもかっこよかったわ!」
帰りの馬車でアメリアが興奮しながら言った。
「そうだね。彼女はしっかりした令嬢の教育を受けていたんだろうね」
「やっぱり帝国は偉大だわ! 下位貴族でも凛としてて素敵なのね!」
「…………」
フレデリックは口を閉ざした。
下位貴族……?
いや、あの口ぶりは完全に上に立つ者の物言いだった。いくら帝国でも……いや、巨大な帝国だからこそ上下の区別はしっかりと付けるはずだ。子爵令嬢や男爵令嬢からあんな言葉は、あり得ない。
「お兄様?」
アメリアがきょとんとして首を傾げた。
「あぁ、ごめんごめん。考えごとをしていたよ」
「もうっ、お兄様ったら」
「ごめんね」と、彼は可愛い従妹の頭を撫でた。
シェフィールド公爵の話によると、彼女はアメリアと初対面の際は臆することなく堂々と公爵令嬢と渡り合ったらしい。そして今では従妹は彼女のことを大いに慕っている。何人もの家庭教師を辞めさせた問題児のあの子が。
果たして、下位貴族の令嬢にそんな真似ができるのだろうか。
彼女は本当に下位貴族なのか……?
フレデリックはなんだか胸に引っ掛かるものを感じたのだった。