元皇女なのはヒミツです!

「本当よ」

 いつの間にかこっちに戻って来ていたアメリア様が出し抜けに割って入ってきた。グレースたちは「ご機嫌よう」と身位が上の小さなお姫様にカーテシーをする。

「リナ、あれを見せなさい」

「かしこまりました、アメリア様」
 私は懐から公爵閣下に一筆書いてもらった書面を取り出す。しかも連名でフレデリック様の署名付きだ。

 アメリア様はそれを受け取りグレースの眼前にビシリと突き付けて、

「ほら、これが証明書よ。あなたたち、これでもリナに難癖を付けるのならシェフィールドに抗議するものと同義とみなすわ」

「しっ……失礼いたしました!」と、グレースたちは慌てて頭を下げる。だが、その目は私のことを憎々しそうに睨み付けていた。

「ところで、エカチェリーナ様の情報はその後どうかしら?」

「それが……全く」と、グレースは残念そうに首を横に振る。

「そう。こっちもよ。引き続き捜査を頼むわね」

「もちろんですわ、公爵令嬢」

 あ、グレースもまだエカチェリーナのことを探していたんだ……。
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