元皇女なのはヒミツです!
38 侯爵令嬢のお茶会③
「あちらに行きましょうか」
そのテーブルにはアメリア様と同年代の貴族の子女たちが5、6人集まってお茶とお菓子を頬張りながら、楽しそうにわいわいとお喋りをしていた。
卒然と、アメリア様の足が止まる。
「アメリア様?」
彼女は梃子でも動かないとばかりにその場に踏ん張って、押しても引いても駄目だった。
「どうしたのですか? 行きましょう?」と私が言っても、彼女はふるふると首を横に振るだけだ。
「だって、なんて話しかければいいか分かんないもん……」
アメリア様はすっかり怖気付いていた。屋敷では威勢がいいのに、意外に内弁慶な子なのよね。
「大丈夫ですよ。ご機嫌ようって挨拶をして、アメリア・シェフィールドですって言うだけですから。あとはお友達のお名前を聞けばいいんです。それで知っている家門だったら、そこから話を広げればいいのですよ」
「で、でもぉ……」
「じゃあ、俺と一緒に行こうか」
そのテーブルにはアメリア様と同年代の貴族の子女たちが5、6人集まってお茶とお菓子を頬張りながら、楽しそうにわいわいとお喋りをしていた。
卒然と、アメリア様の足が止まる。
「アメリア様?」
彼女は梃子でも動かないとばかりにその場に踏ん張って、押しても引いても駄目だった。
「どうしたのですか? 行きましょう?」と私が言っても、彼女はふるふると首を横に振るだけだ。
「だって、なんて話しかければいいか分かんないもん……」
アメリア様はすっかり怖気付いていた。屋敷では威勢がいいのに、意外に内弁慶な子なのよね。
「大丈夫ですよ。ご機嫌ようって挨拶をして、アメリア・シェフィールドですって言うだけですから。あとはお友達のお名前を聞けばいいんです。それで知っている家門だったら、そこから話を広げればいいのですよ」
「で、でもぉ……」
「じゃあ、俺と一緒に行こうか」