元皇女なのはヒミツです!

 二人で無理矢理に小さなお姫様をテーブルまで連れて行く。彼女はムッと口を尖らせてはいたが、セルゲイのことは素直に従うようで渋々近くのテーブルまで進んで行った。
 小さな貴族の子供たちが私たちに気付く。皆、静まり返って興味津々にこちらを見ていた。

「やぁ、皆。今日はこの子と仲良くして欲しいんだ」と、セルゲイが言うと、小さな令嬢たちはポッと頬を赤く染めた。セルゲイの威力は相変わらず凄まじいわね。

 にわかに注目されて、アメリア様は身体がピンとしゃちこばった。

「アメリア様、頑張って! 公爵令嬢の凛とした姿を見せ付けるのです」と、私は背後から小声で囁いた。

 アメリア様は頬を上気させながら、

「ご……ご機嫌よう」

 ちゃんと挨拶できた。私はほっと胸を撫で下ろす。ここまで来ればきっとあとはなんとかなるでしょう。

「わたしはアメリア・シェフィールドよ」と、彼女が名乗ると令嬢たちは嬉しそうに自己紹介し合った。そして、弾けるようにどんどん話題が広がって、話に花が咲く。アメリア様もとっても楽しそうだ。年上もいいけど、やはり同年代の友人というものは大事よね。今日を機に彼女の交流が広がるといいけど……。
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