元皇女なのはヒミツです!

 私がほんわかした気持ちになったときだった。

「コイツ、すっげぇ悪いヤツなんだぜぇ! 何人も家庭教師を辞めさせたって父上が言ってたぞ!」

 出し抜けに隣に座っていた小さな令息が物知り顔で言ってきた。途端にアメリア様の眉がつり上がる。

「なんですって……?」

「皆言ってるぞ、シェフィールド公爵令嬢は我儘だって」

 アメリア様はドンとテーブルを叩いて、

「違うわよ! わたしは生まれ変わったの。もう我儘なんかじゃないわ!」

「嘘つけ! 我儘令嬢!」

「黙りなさい! この白豚が!」

「しっ、白豚だとぉっ!?」

 色白の令息は顔を真っ赤にさせながら叫んだ。

「そうよ。あなたは他人のことをとやかく言う暇があったら痩せなさい! あまりにも見苦しいわ。それに肥満は健康に悪いのよ。死にたくなければ食べるのを我慢して運動をしなさい!」

「な、ん、だ、とぉぉぉ~~~っっ!!」
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