元皇女なのはヒミツです!
「皆、見て!」
私は氷魔法で目の前に小さな氷のお城を作った。
「わぁぁっ!」
「すっごーい!」
「綺麗!」
さっきまで涙目だった子供たちの顔が日が照ったようにパッと明るくなる。
「アメリア様、先日できるようになった魔法でお城に明かりを灯してくださいな」
「あれね! 分かったわ!」
アメリア様は呪文を唱えながら手を氷の白に翳す。すると、ボワッと柔らかい光が流れ出して城をオーロラのように七色に染めた。
「わぁっ!!」と、子供たちから歓声が上がる。令息も「すっげぇ~~~!!」と興奮しながらそれに見入っていた。
「アメリア様は魔法の操作がちょっと苦手だったけど、努力してここまでできるようになったんですよ。我儘令嬢だったらこんなこと不可能ですから」
「あ……」
令息は黙り込んだ。
「……白豚なんて言って悪かったわね」とアメリア様がツンとしながらも謝った。
「オレも……ごめんな」
私は安堵した。二人が仲直りをして一安心だ。とりあえず公爵閣下に頼まれた任務は完遂できたかしら。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん。もっと魔法見せて」
「私も見たい!」
「分かったわ」
「リナは魔法学園の特待生なのよ? あなたたち、しっかり見て勉強しなさい」と、なぜかアメリア様が自分のことのように得意気に言った。
「特待生ってもう何十年もずっといなかったんでしょう? すごい!」
「お母様が学園に通っているときよりも、もっと前に一人いただけって聞いてるわ!」
「すっげぇ~~~っ!!」
私は彼女たちが満足するまで魔法を披露した。ちなみにセルゲイも魔法をせがまれたが、彼は炎の魔法の使い手なので危ないからと辞退したのだった。