元皇女なのはヒミツです!
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「なんなの、あれ……」
リナたちのいる騒がしいテーブルを冷めた目で令嬢たちが見ていた。
「付添人のくせに出しゃばり過ぎじゃない?」
「っていうか、平民なのになんで公爵令嬢の付添人なんてやっているの?」
「娼婦みたいなことでもやったんじゃない?」
彼女たちの平民への憎悪はなにかに掻き立てられるかのように、どんどん膨らんでいる。太陽が隠れて影もおぼろげに曇ってきた。
「やっぱり平民がここにいるのは気分が悪いわ」
「そうだわ、追い出しましょう」
「身分の違いというものを分からせてあげないといけないわ」
「そうね、そうしましょう」
「平民に恥をかかせてやりましょう」
「私にいい考えがあるわ……」と、名もなき令嬢が不気味に笑う。
黒い影が彼女たちを包んだ。