元皇女なのはヒミツです!



◆◆◆





「なんなの、あれ……」

 リナたちのいる騒がしいテーブルを冷めた目で令嬢たちが見ていた。

「付添人のくせに出しゃばり過ぎじゃない?」

「っていうか、平民なのになんで公爵令嬢の付添人なんてやっているの?」

「娼婦みたいなことでもやったんじゃない?」

 彼女たちの平民への憎悪はなにかに掻き立てられるかのように、どんどん膨らんでいる。太陽が隠れて影もおぼろげに曇ってきた。

「やっぱり平民がここにいるのは気分が悪いわ」

「そうだわ、追い出しましょう」

「身分の違いというものを分からせてあげないといけないわ」

「そうね、そうしましょう」

「平民に恥をかかせてやりましょう」

「私にいい考えがあるわ……」と、名もなき令嬢が不気味に笑う。

 黒い影が彼女たちを包んだ。
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