元皇女なのはヒミツです!
39 侯爵令嬢のお茶会④
◆◆◆
「王太子殿下」
令嬢たちからやっと解放されたフレデリックのもとへ今度はフローレンス侯爵令嬢がやって来た。
「やぁ、フローレンス嬢。もう挨拶回りは終わったのかい?」
「えぇ。やっと殿下とゆっくりとお話できると思うと、わたくし嬉しくって」と、フローレンスは周囲に聞こえるような弾む声で言った。
「やっぱり、お二人はそういう関係なのね」
「もしかして今日は婚約発表をするのかしら?」
途端に周囲から無責任なひそひそ話が聞こえはじめた。
フレデリックはそんな下らない噂話にうんざりする。そして、そういう話を敢えて広めようとする目の前の侯爵令嬢にも。
だが、今日は彼女がホストだ。従妹の社交界プチデビューの記念すべき会だし、自分から波風を立てることは得策ではない。
フレデリックはニッコリと微笑んで、
「……そうか。それは光栄だね。では、あちらのテーブルに行こうか」
侯爵令嬢の誘いに乗る。
彼は彼女の手を取って近くのテーブルまでエスコートをする。
ぞっとするほど氷のように冷たい手。自分はこの手を一生握ることになるのだろうか。そう考えると目の前が真っ暗になる。
だがフレデリックはそんな思いはおくびにも出さずに、笑顔でフローレンスの話に相槌を打つ。
「王太子殿下」
令嬢たちからやっと解放されたフレデリックのもとへ今度はフローレンス侯爵令嬢がやって来た。
「やぁ、フローレンス嬢。もう挨拶回りは終わったのかい?」
「えぇ。やっと殿下とゆっくりとお話できると思うと、わたくし嬉しくって」と、フローレンスは周囲に聞こえるような弾む声で言った。
「やっぱり、お二人はそういう関係なのね」
「もしかして今日は婚約発表をするのかしら?」
途端に周囲から無責任なひそひそ話が聞こえはじめた。
フレデリックはそんな下らない噂話にうんざりする。そして、そういう話を敢えて広めようとする目の前の侯爵令嬢にも。
だが、今日は彼女がホストだ。従妹の社交界プチデビューの記念すべき会だし、自分から波風を立てることは得策ではない。
フレデリックはニッコリと微笑んで、
「……そうか。それは光栄だね。では、あちらのテーブルに行こうか」
侯爵令嬢の誘いに乗る。
彼は彼女の手を取って近くのテーブルまでエスコートをする。
ぞっとするほど氷のように冷たい手。自分はこの手を一生握ることになるのだろうか。そう考えると目の前が真っ暗になる。
だがフレデリックはそんな思いはおくびにも出さずに、笑顔でフローレンスの話に相槌を打つ。