元皇女なのはヒミツです!
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アメリア様たちは今度はセルゲイに遊んでもらっていた。
役目の終わった私は後ろに下がってその様子を微笑ましく見守っていると、
「ちょっと、そこの付添人さん。これを持ってくださる?」
「えっ――」
返事をする前に、令嬢が空いたカップを押し付けて来た。
「私も」
「わたくしのもお願いね」
「ほら、早く持ちなさい」
令嬢たちはどんどん私にカップやお皿を渡してくる。さすがに高級品を落として割ったら不味いので私は掻き集めるようにそれらを必死で持った。
「ちょ、ちょっと! なんで私に渡すの? そこに置いたままでいいじゃない」
「これからこちらのテーブルに皆で集まることにしたの。だからテーブルセッティングを変更するのよ」
「だったら、会場にいるメイドたちに――」
「彼女たちは今は他の仕事で忙しそうだから頼むのは悪いでしょ? あなたは平民なんだから手伝いなさい」
「…………」
なんて理屈だ。メイドは十分にいて仕事に余裕があるし、それにホストに無断でテーブルセッティングを変えるだなんて、無礼にも程がある。それはあなたのおもてなしに不満がありますよ、と言っているのと同じだ。侯爵令嬢になんて失礼なのかしら。
……ま、私に嫌がらせをするためにわざとやっているのでしょうけど。